起業する気がなかった私が起業から得られたこと
2026/06/05
公共職業訓練のキャリアコンサルティングに行っていると、「起業したい」という方が結構いらっしゃいます。
インターネットが発達し、個人でもビジネスチャンスが広がったことや、在宅でも仕事ができる可能性が増えて、会社という組織に縛られずに働きたいと考えている人も増えているようです。
私は2018年に今のオフィスを開所しましたが、それ以前にもNPO法人などの設立支援をしていたので、起業についての知識はそれなりに持っていました。
大きく違ったのは、NPO法人は核になる人が4人、その周りに10人の人がいないと設立できませんが、キャリコンで起業するなら自分だけということ。自由にやりたいことはできるが、すべての責任が自分にあることを覚悟しなければいけません。
私は自分が起業するとは思ってもいませんでした。根が小心者で、お会いした人に自分を売り込むのが苦手だったので、組織の中で成果を上げていく方が向いていると考えているからです。そう、一人で何かをするよりも、チームで動いて成果を出すことの方が好きなのです。でもなぜか、そういう組織には巡り合えず、今に至っています。
税務署に開業届を出した時、「これからは、自分の内包している範囲を3周りくらい広げて、機会があるごとにさりげなく営業していかなければ…」と強く思いました。
もちろん、起業とひと口に言っても規模はさまざまですが、私はせっかく起業するなら、月にこのくらいは収入を上げたい、という思いを持っていました。そしてそれを達成するためにできることは何でもやろうと考えたのです。
一般的にお勤めをしている人は、週5日の日中は働いている訳ですが、フリーランスは収入のない日もあります。なのでキャリコンの業務以外にも、ライティングや他の仕事のお手伝いなど、こだわりなく引き受けて、空いている日を埋めるようにしています。
キャリコンが本業だから、それ以外の仕事はしない、と言いきれる人は羨ましいですが、この仕事に関しては幅広い職業経験が役に立つので、むしろ未経験の職場や業務が体験できるのはありがたいのです。
過去にもDMのチラシ折りをやったり、病院内の図書館に一カ月勤務したこともあります。そうやって人生経験が増えたことは、今の自分の糧になっていると感じます。すべての人生経験がキャリアに内包されているのです。
中には、「できればこんな経験はしたくなかった」という辛い思いをしたり、こうあるべきなのにそうではない職場に当たってもやもやしたりもしましたが、マイナスな出来事は誰にでも起こりうることですし、そういった事象を受け止めることのできる、人としての器は広がったように思います。
二十歳から定年間近の今に至るまで一社で働いている夫と比べると、なんて自分は落ち着かない人生なのだろうとも思いますが、自分の力で生きていくことの自信は付いたと思います。
副業、パラレルワークという働き方もあたりまえになってきたので、ライスワーク(食べるための仕事)とライフワーク(収入は少ない、あるいはなくても生きがいにつながる仕事)を上手に組み合わせるなど、柔軟な働き方ができる時代になりました。その人にあった働き方を実践できるということを、これからも伝えていきたいと思います。

