職業選択の第一歩は自分を見つめ直すこと|キャリアコンサルタントの就活支援
2021/08/03
まだ小さい頃、近所に同じ年の女の子がいて、いつも一緒に遊ばせてもらっていました。
彼女のお父さんは公務員で、その家にはアップライトのピアノがあり、先生が訪問してピアノ教室も開かれているような家でした。
彼女は、流行のおもちゃはだいたい持っていて、そのうちのひとつが『リカちゃん人形』でした。
当時、雑誌の付録に紙の着せ替え人形が付いていて(もちろん平面です)、着せ替え遊びが大好きだった私は、少し洋風な顔立ちの、素敵な洋服を着たその人形が、とても羨ましかったものです。
リカちゃん人形が結構広まってきた頃、私は両親から、誕生日か何かのプレゼントで似たようなお人形をもらいました。
当時、売れっ子だった女性歌手をモチーフにしたもので、私はそれを見た時、「この人の人形もあるんだ」と思ったくらい、一般的ではありませんでした。
両親がなぜ、リカちゃん人形ではなく、その女性歌手の人形を選んだのか、理由は聞いたことがありませんが、多分、価格の都合だったのでは、と思います。
本当に同じような人形でしたが、彼女のリカちゃんの服を借りて着せようとしても、うまく着せることができなかったような記憶が朧げにあり、それ以来、一緒に遊ぶことはあまりありませんでした。
ひとりで、母が縫ってくれた洋服を着せ替えては遊んでいましたが、結局、その女性歌手の人形はあまり気に入らないまま、おもちゃ箱の隅に入っていました。
どうしてその人形が気に入らなかったのか、それは「本物じゃない」という気持ちでした。
彼女とその人形を使って一緒に遊ぶことが少なかった理由も、何となく本物のリカちゃん人形と比較されるのが嫌だったように思います。
当時は、そのことを深く考えてはいなかったのですが、今思えば、私の中にはそこのところは大きな違いだったのです。
「本物か、そうじゃないか」ということについて、私自身は結構なこだわりを持っていると思います。
それは、例えば有名ブランドのものか、偽物か、というようなものではなく、もっと本質的なものです。
仮に物であれば、その物づくりについて、作る側の明確なコンセプト(意思)の元に、丁寧に、使う人の立場に立って作られたもの、というようなイメージであり、そういった意思が伝わってくるもの、とでも言いましょうか。
そしてそれは物だけでなく、社会のあらゆること、例えば提供されるサービスや、事業、組織のあり方についても『本物』あるいは『その道のプロ』を求める傾向があると認識しています。
何か物事を選択するとき、めざすべき姿をイメージするとき、私の中で無意識のうちに『本物であれ』という思いが働いています。
私のような人は、そういう思いが貫けない職場や会社で働くことは、非常に多くのストレスを生んでしまいます。
さて、皆さんの中のこだわり、とはどんなものがあるでしょうか。
そういった「自分の中のこだわりたい部分」=『価値観』について、就職活動をする前にまず、自分を見つめ直す機会を持ってみましょう。